レミーマルタンV.S.O.Pのレビュー
今日は簡単なレビューです。
有名なブランデーの一つ、レミーマルタンのV.S.O.Pです。
①基本情報
銘柄: Rémy Martin V.S.O.P
容量: 200ml ※フラスクボトル
アルコール度数: 40%
産地: フィーヌシャンパーニュ (Fine Champagne)
熟成年数: 4年~12年をブレンド
値段: 税込1,840円(オープン価格)
※700mlの希望小売価格は6,050円、実売価格は3,500円~4,000円
フィーヌシャンパーニュとは、グランドシャンパーニュ産ブドウを50%以上使用し、残りはプティットシャンパーニュ産を使っているもののみ名乗れるランクです。
レミーマルタンはすべてフィーヌシャンパーニュです。他にはヘネシーV.S.O.Pフィーヌシャンパーニュもそうです。
②レビュー
飲み方: ストレート
使用グラス: リーデル ヴィノム コニャック
このグラスは、リムが沿っているのでV.S.O.Pなど若いランクのものでもアルコール感を軽減してくれます。ウイスキーのテイスティンググラスとしても優秀ですよね。
・香り
熟したブドウのような芳醇な香り、バニラやカラメルソース、白ブドウのジュース的な若さとみずみずしさ、ホイップクリームや生クリームなどの洋菓子感。どこかに昆布を水で戻したやつの香り…
・味
口の中では、樽の苦みとブドウのコク、さらに軽くブドウの甘み。
飲み込むと、バニラの甘みとともに、コーラのようなカラメル感と昆布のコク(合わさるとブランデー特有のイソジンの風味、いい意味で)。最後に生クリームのようなオイリーさがうっすら残る。
・フィニッシュ
カラメルソースや昆布(あわせてイソジン)、バニラ、白ブドウの酸味のある香り、さらに軽くカスタードの香り。だが、それほど強い香りではなく、すぐに消えていく。
③総評
まあ、4年~12年ですから若いです。
良いところとしては、この若さでコニャックのコクはしっかりと出ているところと、若さゆえのみずみずしさなどもしっかりと感じられるところがあげられます。
悪いところは、一番は若すぎて、味の厚みやフィニッシュの短さの点でどうしても力不足を感じるところです。また、値段的にどうしても少し高く感じてしまいます。200mlで1,800円はわりと高いですし、700mlで3,500円も…。
カクテルの材料などにはいいと思います。ヘネシーV.Sよりは複雑ですので、ほかの材料と混ぜてもレミーマルタンをしっかりと感じ取れそうです。
一方で、コニャックやブランデーの入門としてはあまりお勧めできませんね。これがコニャック、と思ってしまうと少しマイナスからのスタートになってしまいそうです。コニャックのことをある程度経験すれば、こういう若いのも意外といいじゃん、とはなると思いますが…。
まあ、同じく有名なヘネシーV.Sよりかはコニャックらしいとは思います。
ブランデーとは?
ブランデーってよく聞くと思うんですけど、いまいちどういうものかよくわからない、そういう人多いと思います。
今回はそこについてかるーく解説したいと思います。
1.ブランデーって何?
①ブランデーとは
ブランデーって意外と知られていません。でも、その定義は簡単なのです。
果実酒から作られた蒸留酒、これだけです。
ですから、ブドウのブランデーもあれば、リンゴのブランデーもあり、サクランボのブランデーや杏のブランデーもあります。果実からお酒が造れれば、それを蒸溜すればすべてブランデーと言えるのです。
ではなぜややこしいのでしょうか?
そこのキーワードが、「ブドウ」と「コニャック」です。
日本に限らず、一般的にブランデーというと「ブドウのブランデー」を指します。そして、ブドウのブランデーの代名詞的存在だったのが、「コニャック」なのです。
ウイスキーでいうと、「ブランデー」は「ウイスキー」と同じレベルで、「スコッチウイスキー」が「コニャック」とかのレベルですね。
ブドウのブランデーというのは、極端に言うと、ワインを蒸溜したものです。
そして、ブドウのブランデーが一番有名なのは、それが一番多く、歴史的にも古いからです。これは、次の生産地を見ながら確認しましょう。
ちなみに、同じように言えば、ウイスキーはビールを蒸溜したものですね(笑)
コニャックについては後で詳しく説明するとしましょう。
②どこで作られてるの?
ヨーロッパで作られていた果実酒で、最も多いのはワインですよね。ワイン生産が多い地域というと、フランスやイタリア、スペインなどですね。しかし、やはり一番有名な産地であり生産量も多いのはフランスでしょう。
実は、ブランデーの語源は「焼いたワイン」です。
(余談ですが、フランス語でブランデーのことは"eau-de-vie(オー・ド・ヴィー)"と言います。訳すと「命の水」という意味で、ウイスキーやウォッカの語源と同じですね。)
その語源が「焼いたワイン」であるとおり、ブランデーは歴史的にもワインの蒸留から始まりました。
すると当然、ワイン生産が多い地域でブランデーも生産されるわけです。
そして、フランスではブランデー生産が次第に大規模に行われるようになり、輸出も行われるようになって、非常に有名となりました。こうして、この先のコニャックの話につながっていきます。
※ここからちょっと上級編
じゃあ、イタリアやスペインにブドウのブランデーはないのか、というとちゃんとあります。
イタリアで有名なブドウのブランデーは「グラッパ」と言います。
これはワインからではなく、ブドウの搾りかすを発酵させたアルコールから作ります。
厳密には、「ポマース・ブランデー」という部類で、「粕取りブランデー」ともいわれます。
同様のものはフランスにもありますが、それは「マール」と呼ばれます。
スペインで有名なのは、シェリー酒の産地で作られる「シェリー・ブランデー」です。
これはあくまでシェリー酒の産地で作られたブランデーであって、シェリー酒から作られたブランデーではありません。
どうやらこのシェリー・ブランデーの製法が植民地に伝わり、プエルトリコ、グアテマラ、キューバ、メキシコなどの旧スペイン領のラムの製法になったそうです。
2.フランスのブランデー
有名になったフランスのブランデーは、ブランド化が進んでいきました。そして、その中でも上質なブランデーを作る地域として「コニャック」、「アルマニャック」、「カルヴァドス」が出てきたのです。カルヴァドスだけは、ブドウではなくリンゴのブランデーです。
ちなみに、どれも原産地呼称規制(AOC)の対象なので、認められた地域でないとこれらを使うことはできません。
ブドウのブランデーの場合は、フランスのほかの地域だと「フレンチブランデー」、世界的には「ブランデー」です。
リンゴのブランデーは「アップル・ブランデー」になります。
決してこの地域でないと美味しくないわけではないですが、基準がないので品質が一定じゃないというデメリットはあります…。
①コニャック
ワインで有名なボルドーの北、コニャック市を中心とする一帯で採れたブドウで造られたブランデーを「コニャック」と言います。日本だと、ブランデーというとこれが一番有名ですね。
よく聞く、ヘネシーやレミーマルタン、カミュ、マーテルと言った有名ブランドも、このコニャックです。
ちなみに、土壌によって、生産地が次の6つのランクに分かれます。
1. グランド・シャンパーニュ (Grande Champagne)
2. プティット・シャンパーニュ (Petite Champagne)
3. ボルドリ (Borderies)
4. ファン・ボア (Fins Bois)
5. ボン・ボア(Bons Bois)
6. ボア・ゾルディネール(Bois Ordinaires)
上のランクに行くほど高級になります。しかし、土壌ごとに味が大きく異なってくるので、一概に一番上が一番いいというわけではないのです。沼ですね、ハイ。
②アルマニャック
コニャックとは逆に、ボルドーの南のアルマニャック地方で作られるブドウのブランデーを「アルマニャック」と呼びます。正直日本だと有名じゃないですね…
アルマニャックも生産地の土壌によるランクがあります。
1. バ・アルマニャック (Bas-Armagnac)
2. テナレーズ (Tenareze)
3. オー・アルマニャック (Haut-Armagnac)
実際のところ、よく見るのは一番上のバ・アルマニャック産のものかもしれません。
コニャックもアルマニャックも、同じブドウのブランデーですが、蒸留方法やブドウの品種が違っているので、味わいは全く違います。沼要素②ですね…。
③カルヴァドス
これだけ、リンゴのブランデーです。ブドウではないので注意してください!
フランスの北部、ノルマンディー地方で作られるリンゴのブランデーを「カルヴァドス」と呼びます。
ブドウの栽培限界よりも北に位置していて、シードルと呼ばれるリンゴのお酒が造られていたこともカルヴァドスが生まれるきっかけになっています。
ただし、リンゴのブランデーとは言いますが、完全にリンゴではありません。
洋ナシも混ぜられています。
ここももちろん、ランク分けがあります。が、カルヴァドスでは生産地域だけではなく、洋ナシの混合量も関わってきます。
1.カルヴァドス ペイ・ドージュ(Calvados Pays d'Auge)
ペイ・ドージュ地区で作る、洋ナシ30%以下、単式蒸留器で2回蒸留、最低2年熟成
2.カルヴァドス ドンフロンテ(Calvados Domfrontais)
ドンフロンテ地域で作る、洋ナシ30%以上、半連続式蒸留、最低3年熟成
3.カルヴァドス (Calvados)
上記2つの地域とその他認められた地域で作るかそのブレンド、最低2年熟成
どの地域かによって味は大きく変わりますし、洋ナシの混合量でも変わります。逆に言うと、コニャックやアルマニャックよりも、一番上が一番いいわけでもないのです。面白いですが、沼は深いですよ…
3.その他のブランデー
原料の果物さえ作れてしまえばどこでも作れます。日本でもサントリーやニッカがブランデーを出していますね。最近では「甲州」も見ますね。
ただ、基準が定まっていないというのが大きいです。X.Oなどの表記は、コニャックなどでは厳格な規定があります。しかし、こうしたブランデーにはその基準がないのです。
品質的に保証されているものとなると、どうしてもコニャックやアルマニャック、カルヴァドスへと行ってしまいますね…。
一方で、杏のブランデーやサクランボのブランデーは、よくカクテルに使われます。杏だとアプリコットブランデー、サクランボだとチェリーブランデーとなります。
しかし、このチェリーブランデー、実は複雑です。簡単に言うと、ブランデーにチェリーを付けた、本当の意味からするとブランデーではないものが混ざっています。むしろ、それがチェリーブランデーとして知られてしまっていて、本当の意味でのチェリーブランデーは認識されていないかもしれません…。
マラスキーノやキルシュワッサーは、熟成はしていないものの、ちゃんとしたチェリーブランデーです。知ってあげてください…。
4.ブランデーのグラス
基本的にブランデーはストレートで飲みますが、ブランデーというと、あの大きなグラスをぐるぐるとまわしながら金持ちが飲んでいる…そんな印象が根強くありますね。石原裕次郎スタイルです、はい。
このグラスはスニフタグラスというのですが、質の悪いブランデーが多かった時代の飲み方なのです。
質の悪いブランデーは香りがなかなか立ちません。そこで、手のひらで温めることで温度を上げ、香りを開かせていました。
しかし、現在ではブランデーの質は非常にいいです。
そのため、ストレートで飲む際にも、一般的なテイスティンググラスで十分です。いや、むしろその方がいいのかもしれません。
スニフタグラスだと、ボウルが非常に大きい分、香りが開きすぎてしまってアルコールの刺激も来てしまいます。結果、かえってまずくなってしまうことも多いのです…。
事実、リーデルとヘネシーの共同開発によって生まれたソムリエシリーズのコニャックXOは、一般的なテイスティンググラスの形状をしています。
ですので、ブランデーグラスじゃないといけないなんてことはないのです。
おわりに
ブランデーについて、だいたいはわかりましたでしょうか?
まだまだ説明しきれていないことはありますが、それは追々…。
ポートシャーロット10年(Port Charlotte 10 aged years) 香りと味は開栓後どう変わっていく?
こんにちは!
久しぶりにウイスキーの香りと味の変化です。今回扱うのはブルックラディ蒸留所のポートシャーロット10年ですが、個人的に大好きなので飲み切ってしまって非常に悲しいです。早くもう一本買わないと…
1.ポートシャーロット10年の基本情報
①基本情報
・蒸溜所: ブルックラディ蒸溜所
・熟成年数: 10年
・アルコール度数: 50度
・フェノール値: 40ppm
・樽構成:
ファーストフィル・アメリカンウイスキー樽 65%
セカンドフィル・アメリカンウイスキー樽 10%
セカンドフィル・フレンチワイン樽 25%
・特徴
着想、蒸留、熟成、ボトリングをすべてアイラ島で行っている
②公式テイスティングコメント
・香り
清々しい潮風が、スモーキーさを穏やかにしている。オークとスモーク、そしてスピリッツ本来の個性は、10年の熟成を経たことでバランスが取れ、調和が生まれている。ポートシャーロット特有のドライで土っぽく、ピートの灰を思わせるスモーキーなアロマだが、そこにキャラメルソースやファッジ、ヴァニラカスタード、かすかなショウガ、ナツメグ、クローブなどの波がオークとともに押し寄せて前面に出る。
グラスに注いで水を1滴加えると、優しいレモンメレンゲやオレンジなどのシトラス香が解き放たれる。深く息を吸い込めば、野生のタイムやヒース、ハマカンザシの花のようなフローラルなアロマがあなたを大西洋の海岸への連れて行くだろう。
・味
舌に乗せてみると、テクスチャーとその存在感の中に繊細さと柔らかさを感じるだろう。香りと同様にフレーバーも素晴らしいバランスで、オークから深く引き出された甘さをスモーキーさが穏やかに包み込んでいるそしてココナッツ、ヴァニラカスタード、レモンの花の蜂蜜とともに、牡蠣の燻製と日に灼けた砂浜が現れる。
・フィニッシュ
フィニッシュは荘厳に訪れる。もちろんスモーキーだが、ファッジやモルティングした大麦、オレンジ、マンゴーの柔らかな甘さと、バナナ・トフィーパイを思わせる質の高いオーク樽由来の深みもある。一口ごとにいくつも重なり合っている層が次々に顔を出す。熟したリンゴやアプリコット、モルトやオークの甘さが、煙の如く現れては消えていく。これこそが典型的なポートシャーロットのドライなスモーキーさなのだ。
うーん、なんとも長いですね…。何となくですが、ワインのテイスティングコメントを連想します、あくまでイメージですが…。
意外と忘れがちなのがフェノール値が40ppmであることと、セカンドフィル・フレンチワインカスクを25%使用していること、そして大麦以外は基本すべてアイラ島で完結するようにしていることです。
2.個人的テイスティングコメント
今度は私の個人的なテイスティングコメントです。感じるままに書いているのと、次の項で書く変化を総合したうえでのコメントになります。
・香り
軽いスモーキーさ、青リンゴ、バニラ、パイナップル。麦やもみ殻のような穀物の香り。奥に草原のような青い草のさわやかな香りも感じられる。
・味
焦げた苦みがメイン。穀物,特に麦の甘みとバニラやバナナの甘みもいる。
飲み込むと、ベーコン的な焦げた苦みと麦やバニラの甘み、さらにブドウや白ワイン。生クリームのようなオイリーさ。まれに、ライムやオレンジの柑橘的な甘みと酸味。
・フィニッシュ
焼いたベーコンのようなスモーキーさ、バニラ、バナナ、麦などの香りとともに、ナッツやバターなどのオイリーな香り、さらに軽くリンゴなどの香りもある。
公式テイスティングコメントとの違いとしては、ワイン樽を使っているからか、白ワインやブドウのような香りを感じ取っていることです。それ以外は大体似ていますが、それほどオレンジやレモンなどの柑橘の香りは感じないようにも思います…。
3.香りと味の変化
さあ、本題の香りと味の変化です。
まず、開栓は2019年の10月7日です。この時点では、香りはスモーキーさとアルコール感、そしてバナナと温泉のような硫黄の香り、かすかなスイーツの甘い香りです。味はバニラ系の甘さと焦げた苦み。フィニッシュは、スモーキーさとともにナッツやバターのオイリーな感じ、軽くリンゴやナシのフルーティーな香りです。
この時点ではまだまだアルコール感が強いですが、フルーティーな風味が意外としっかりと出ています。スモーキーさはもちろん強めですね。
開栓から一週間経過した10月16日には、初めて麦と青リンゴの香りがしています。今思い返すと、最初にもこの香りはあったのでしょうが、それほど強くはなかったようにも思います。しかしこの時点で、少しの変化があったと記録しているので、事実変わっているのでしょう。
この次に飲んだ10月28日の時点では、今度はパイナップルが初登場しているので、このあたり、つまりボトルの肩よりも減って液面の面積が増えると割と早く変化して、開くようです。
しかし、ここからはほとんど変化しません。ハイボールやロックで飲むことが多かったから、というのもあるかもしれませんが、どちらで飲んでも同じようなコメントが続いています。この傾向が年明けまで続きました。たしかに、年末にかけては柑橘感が出ることもありましたが、出ない時がほとんどで、偶然かもしれません。
2月20日、飲み方はロックでしたが、ここでテイスティングコメントに初めて白ブドウが追加されます。今までなかったのか、というとそうではないので、若干強くなって感じ取りやすくなったという感じです。この白ブドウは、わりと高級で皮まで食べられる系の品種の感じです。皮が食べられないものにはない甘みの部分を、特に感じる気がします。ここで残っている量は、半分より少ないくらいです。
このあたりから、飲む頻度が落ちたのもありましたが開いてくる速度が速くなっているように思います。約一か月後の3月25日には杏を感じていますし、その一か月強後の5月8日には醤油のようなコクや、たくあんのような風味も感じています。10月から12月まで、大きな変化がなかったのとは明らかに変化スピードが違っています。もしかすると、気候的に温暖になっていったのも関係があるかもしれません。
6月23日からは、もう残り100ml程度であったこともあって、今まで閉じていた要素が一気に出てきている感じです。6月23日時点ではオレンジやライム、ベルガモットなど柑橘系の香りと味(柑橘類の酸味だけでなく甘みも含む)が非常に出ています。その後、6月27日には醤油やかつお出汁などのコク感がかなり出ています。こうなると、もうその日の気候に非常に左右されますが、非常においしいことには変わりありません。
7月7日、最後は意外とすべてが詰まっていました。
香りはパイナップル、若いリンゴ、麦、アロエ、スモーキーさ、少し奥にカラメルの焦げた香りやメープルシロップなど、全体的に黄色感が強い。
味は、口ではリンゴや洋ナシ、そして麦の軽い甘みと軽いスモーキーさ。飲み込むとスモーキーな焦げ、麦の甘みとパイナップルの酸味、次第にレモンのような柑橘系の酸味へシフトしつつ、生クリーム的な質感が残る。
フィニッシュは、スモーキーな香り、リンゴや洋ナシ、軽くバニラ、南国系フルーツ特有の甘い香り(いわゆるトロピカル詐欺ではないです)、どこかに醤油のような香りなど。
こんな感じでした。ターニングポイントは10月16日、2月20日ですね。
4.香りと味の変化のまとめ
ポートシャーロット10年は、上の詳しい変化を見てみるとわかるように、まずくなる時期がありません。もちろん、私が個人的に好きだからというのもありますが、悪い要素が出てくる時期がないのです。また、同時に要素が大きく変化する時期もありません。度数の高さによって安定しているのか、それとも原酒自体が安定しているからなのか…。
①香りの変化
最初はスモーキーさとアルコール感がメインで、奥に青リンゴやバナナがいる感じです。麦やパイナップルはいることはいますが少ない印象です。
半分くらいに減るとそれほど劇的ではないですが、しっかりと開いてきます。ブドウ感の増加やパイナップルの追加、さらに麦感もより強くなります。また、同時に次第にスモーキーさの主張が弱くなっていきます。以前まではスモーキーさがメインだったのが、ほかの要素と肩を並べられる程度になった感じです。
残り1/6程度かそれ以下になると、大きく開いてオレンジやベルガモットなどの柑橘の香りや、醤油やかつお出汁などの香りも出てきます。しかし、お互いがお互いを引き立てあっているのでけんかせず、非常にいい香りです。
②味の変化
味には不思議とあまり変化がありません。最初から一貫して、スモーキーな焦げた苦みと、麦やリンゴ,洋ナシの甘さです。飲み込んでからも、焦げた苦みとともに麦やバニラの甘みを感じたのち、生クリームのような質感が残ることは変わっていません。確かに、香りによって味は変化しますが、それでもほぼ変化しているような感じませんね。
唯一変わっているとすれば、アルコールのアタックです。やはり最初のころはアルコール刺激の強さはありました。
③フィニッシュの変化
最初のころはスモーキーさとともに、青い草の生い茂った草原や、夏の田んぼのようなそんな草の香りがしていました。
しかし、こちらは香りと比べて少し変わるのが速く、半分減るか減らないかあたりから甘い香りと酸味のある香りが追加されてきました。記録では、リンゴやブドウ、ブルーベリー、さらには杏など、何とか表現しようとして、逆に定まっていません…。
残り1/5くらいになった時点で、ここに醤油やかつお出汁的なコクのある香りが追加されてきます。草のような香りはこうなってくるとあまり香ってきません。香る場合でも、ブドウのつるくらいの感じです。
④今後への展望
しっかりと項目ごとに見てみると、フィニッシュから変化が始まっているように思われます。フィニッシュ→香りと変化が伝播していったようなので、もしかすると、もっと時間をかけると味ももっと変化するのかもしれません。また、季節による気温や湿度の上昇と変化の速度が似ているので、そこも変化の重要な要素になっているように思われます。次はそうした点に特に注目してみたいですね。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
最初にも述べたように、ポートシャーロット10年は個人的に大好きなウイスキーです。まだ飲んだことない方がいらっしゃったら、ぜひ飲んでみてください!
それでは。
紅茶×ウイスキーの可能性(ティー・ロワイヤル方式)
以前、ティー・ロワイヤルという紅茶×ブランデーの魅力について記事を書きました。その延長で、ブランデーをウイスキーにしたらどうなるのだろうと気になりました。そこで、何度か実験をしてみたので、その成果をまとめます!
※角砂糖を使うので、純粋に紅茶とウイスキーだけではない点、ご了承ください。
1.なぜこのやり方?そして実際どうなの?
今回は、紅茶とウイスキーの合わせ方として、ティー・ロワイヤル方式を選びました。これは、ティー・ロワイヤルをやっていて思いついたからなのですが、アルコールを飛ばせるということが一つキーポイントです。日本人にはお酒、つまりアルコールがダメな人が一定数います。そうした人も、このやり方なら楽しめるからです。
アルコールを摂取せずにウイスキーの香りと味を楽しむことができれば、新たなウイスキーの楽しみ方になるかもしれない、そういう思いもこめてこのやり方にしました。
そして、肝心の結果ですが、かなりいいです。ウイスキーと紅茶の組み合わせはブランデーにも負けないほどおいしいです!
ただし、ブランデーを使用するときと違うのは、ウイスキー自体の香りと味の幅が広い点です。ウイスキーは、アイラ島のもののようなスモーキーさが強いものから、マッカランに代表されるシェリー樽のもの、ジャパニーズに代表されるミズナラ樽や繊細な香りのもの、そしてアメリカのバーボンと振れ幅が大きすぎます。ですので、中にはいいとは言えないウイスキーも存在してしまうのです。
とりあえず、実験をひとつひとつ見ていきましょう。
2.紅茶×ウイスキーの実験
数は少ないですが、何度か実験を行いました。その結果を、すべて書いていきます。茶葉の解説(☆)を軽くしたのちに、ウイスキーと合わせてどうなるか(★)を説明していきます。その時の感覚に基づいているので、一つ一つの長さも解説も違います。まあ、たいてい感動しているときや、残念度が大きいときはは感想が長くなります(笑)
かなり長くなるので、読み飛ばしていただいても結構です。
①茶葉: クスミティー アナスタシア
最初に思い付いたものなので、ウイスキーは一種類でしかやっていません。
☆アスタナシアは、ベルガモット、レモン、ライム、オレンジの花の香りがブレンドされたフレーバードティーです。アールグレイに近いですが、それよりも優しく少し甘いです。
★この組み合わせはかなり良かったです。アナスタシアにあったアールグレイ感が消え、モーレンジ・キンタルバン由来と思われるブラッドオレンジやメロン、ピーチなど、濃いめのフルーツの香りがしました。味も甘みと香辛料のスパイス感を感じ、全く別の紅茶になったように感じるほど変化が大きかったです。
②茶葉: クスミティー サンクトペテルブルク
ウイスキー: ブラントン シングルバレル、グレンドロナック12年、ブナハーブン12年
☆サンクトペテルブルクは、キャラメル、レッドフルーツ、バニラなどの甘い香りが特徴的です。ベースがアールグレイだからか、若干のスパイス感もいます。マリアージュフレールのマルコポーロの優しい版みたいな感じです。系統はかなり似ています。
★まずブラントンですが、ブラントン自身の香りと味がよく紅茶と混ざっています。ただし、悪く言えばブラントンを足しただけのような感じです。相性自体は良く思います。
グレンドロナック12年は面白いです。チョコレートやカカオの風味が新たに紅茶に追加されます。草や低木のようなさわやかな香りと味です。
そして、ブナハーブン12年はこの3つでは一番良かったです。焼きリンゴやカラメル、ブドウなどの香りが追加されますが、やはりアイラ島のウイスキーです。島に染み付いたピート感が出てきてスモーキーさを感じます。
③茶葉: マリアージュフレール アッサム ナホラビ農園
ウイスキー: マッカラン・エニグマ、ジョニーウォーカー・ブラックラベル、ロイヤルハウスホールド
☆ナホラビ農園のアッサムは、スイートポテトのような香りと茶葉自体の甘みがかなりあります。そのため茶葉自体の性格は割と強めです。
★まずはマッカラン・エニグマです。スパニッシュオーク・シェリー樽100%ですが、それがうまく作用してます。ももやプラム,赤ワインなどの香りが加わり、味もマッカラン・エニグマの渋みや苦みが適度に残ってとても美味しくなりました。
次にジョニ黒です。そのまま飲むならコスパ最強ウイスキーのひとつ!なのですが、これになると微妙です。大きな変化があまりありません。ジョニ黒の奥にあるスモーキーさが出てくれるかとも思いましたが、そんなことはないです。ですが、冷えてきたらいいので、アイスティー割りはいけるのかもしれません。
ロイヤルハウスホールドですが、これは大成功です。そのままで少し感じられるスモーキーさが、とてもいい効果を発揮してます。もとの香りともまた違った上品さを感じます。香りはかなり濃厚に変化し、味はコクがありますが控えめです。晴れた日の、イギリス郊外の貴族の館、そうダウントンアビーの世界観みたいな感じです。
④茶葉: マリアージュフレール ダージリン ハッピーヴァレー農園
ウイスキー: ダルユーイン22年1997Signatory、グレンファークラス15年、グレンリベット18年
☆ハッピーヴァレー農園のダージリンは、有機農法をとっていることもあってか、香りはとてもいいですが味が少し薄めです。冷めてくると味もいいのですが…。紅葉の時期を思わせるような、いい意味で少し枯れた感じの落ち着く香りです。
★まず、ダルユーイン22年1997です。これは少し離して嗅ぐと、リンゴやナシ,ももなどのフルーティーな香りが広がります。木の感じもして面白いです。ですが、そこで終わってしまう感じ。ただし、口に入れた瞬間はフルーティーな甘さが最高です。
次に、グレンファークラス15年ですが、このなかでは一番中途半端でした。ファークラスの甘みはしっかりと追加されているのですが、そこだけなのです。他にあまり要素がありません。茶葉とけんかしてしまった感じですかね…。
そしてグレンリベット18年(旧ラベル)です。これは、香りは弱めで若干桃を感じる程度なのですが、味はすごいです。一気に深くなった感じです。うまくダージリンとマッチして、ぐっと深度が増しました。甘みもいやらしくなく、茶葉自体の個性が強化された感じです。
⑤茶葉: トワイニング クオリティー プリンス・オブ・ウェールズ
ウイスキー: ウシュクベ・ストーンフラゴン(Over 210 years表記)、伊達、スプリングバンク15年
☆このプリンス・オブ・ウェールズは、1921年にできたエドワード8世のためのブレンドです。スモーキーな香りとまろやかながらもしっかりとした味が特徴です。ところでこの缶には、茶葉3g熱湯140ml 4分30秒で抽出と書いてあります。それをやるとこんなに濃く、コーヒーのようになりますね…。
★まずウシュクベ・ストーンフラゴンですが、これは完全に失敗です。香りは少し変化したかな?くらいでほぼ入れた意味がありません。味は、逆に苦みが出てしまい、正直ダメです…。
次に伊達です。純粋にいい感じです。ウイスキーと紅茶をしっかりと感じ取れます。ですが、逆に言えば伊達特有の無個性な面が出ているので、感動はないです。ただし、一度に少し多めの量を飲むと、伊達の甘さがしっかりと感じられるのでいいかもしれません。
そして、スプリングバンク15年です。ちゃんとスプリングバンクの個性が出てます。牡蠣のような風味もうまく入り、さらにバンク15年の甘さがうまく出てくれて、とても美味しいです。これは成功ですね。
ウイスキー: 響17年、バルヴェニ―21年・マデイラカスク、ロイヤルロッホナガー・セレクテッドリザーブ
☆フォションのアップルティーは、純粋にセイロン茶×リンゴです。癖もないしとても飲みやすいです。ただしリーフティーの場合、細かく粉砕された茶葉なので、入れた紅茶に茶葉が入るのを気にする場合、かなり面倒です。正直ティーバッグでも…。
★まず、響17年はもったいないですが、相性がかなりいいです。プラムやリンゴ、桃など、非常に香りが華やかになります。味も、響17年の複雑さがしっかりと出ていて感動も大きいです。唯一の欠点は、飲み込んだ後に口にへばりつくような感じが残ることです…。
バルヴェニ―21年マデイラカスクはバランスが一番いいかもしれません。香りは薄いチョコレートの様で少し微妙ですが、味はキャラメルとチョコレートがしっかりと感じられ、そこにアップルティーのリンゴが絡み合ってとても美味しいです。
ロイヤルロッホナガーですが、不思議なことにミントやキシリトールのような、そうした植物のさわやかな香りがします。僕は歯医者さんで嗅いだことがあるような…。ですが非常にいい香りです。味は、カラメルの甘みを感じるのですが、最後に一粒の豆を感じます。この豆はいったい何なのか疑問です。
ウイスキー: グレンリベット12年(旧ラベル)、山崎NA、メーカーズマーク
☆トワイニングはアールグレイの元祖です。ですので、ザ・アールグレイという香りです。そして、これはイギリスの紅茶に共通するのかもしれませんが、なぜかミルクティーのような香りもします。
★まず、グレンリベット12年は、変化が少ないです。冷めてくるとグレンリベット12年のフルーティーさが出てきます。もしかしたら砂糖が少なかったのかもしれません…。
山崎NAは、この中では一番いいです。チョコレートやフルーティーさをかなり感じます。味も複雑で、とてもいいです。もしかすると、ワイン樽が効果を発揮しているのかもしれません。
メーカーズマークは、最初のほうのブラントンと同じ現象が起きます。つまり、メーカーズマークの風味はしっかりと出ているのですが、言い換えれば混ぜただけという感じです。決してまずくないですし、むしろおいしいんですけどね。
3.実験のまとめ
長々と書いてきましたが、言えることは以下の通りです。
・いまどうかではなく、ポテンシャルの高いウイスキーが感動をもたらす
・普通に飲んでおいしいものと、紅茶との相性は微妙にズレている
・スモーキーなものも、ものによってはいけるし絶大な効果の場合もある
・バーボンは、間違いはないが、感動は生みづらい
・シェリー樽のウイスキーはうまくいく場合もいかない場合もあり、振れ幅大きめ
・茶葉の個性が強い場合、繊細なものは負けてしまう
はい。まあ、値段の高いもののポテンシャルが高いのは、そりゃそうですよね…。ですが、高いからと言っていいわけではない組み合わせも少なからずありました。ここはやってみるしかありませんね。
そして、問題なのはどの茶葉とどのウイスキーを合わせるかを、どう考えたらいいかです。これは、自作のカクテルを考えるのと似ていますね。上に書いた言えることを参考にしていろいろと試していただくのがいいと思いますが、強いもの×弱いものはほぼ必ず強いものが勝つということは言えると思います。逆に、強いもの×強いものや弱いもの×弱いものは新たな何かを生み出しやすい気がします。
4.おわりに
僕もまだまだ手探りですが、今後いろいろとやってみて進展があれば更新していきたいと思います。みなさんも、やってみて何か分かったことがあれば、コメントなどで情報提供していただけるとありがたいです。
ウイスキーの新たな楽しみ方として面白い方法だと思うので、気になった方はぜひやってみてください!
ティー・ロワイヤルのすすめ
みなさん、紅茶にひと工夫して、もっと楽しみませんか?
紅茶は美味しいですし、何よりも癒されます。大人のゆったりと過ごす時間にもぴったりです。
そんな紅茶を、より楽しめる方法をお伝えします。
1.ティー・ロワイヤルって?
ティー・ロワイヤル、聞いたことある方もない方もいらっしゃるでしょう。
簡単に説明すると、角砂糖にブランデーをしみこませて火をつけ、それを紅茶に沈めます。
火をつけるとこんな感じです。
暗くするととてもきれいです。ブランデーは蒸留酒でアルコールが40%以上なので、高い温度の青い炎が出ます。とてもきれいですが、火なので燃えたり火傷したりしないようには気を付けてください!実際、近づいただけでかなり熱いです…
2.ティー・ロワイヤルで何が変わる?
さらに、使う紅茶の種類やブランデーの銘柄によっても風味は大きく変わります。紅茶の種類×ブランデーの種類だけ組み合わせがあるわけで、その時の気分に合わせて好きな組み合わせを楽しむことができます。
今日はこの紅茶とあのブランデーを合わせてみようかな、明日は違う紅茶とこのブランデーを…となるわけです。
また、火を見ると人間は癒されます。角砂糖が火によって溶けていくときに出る音も、また癒されます。ほんの少しで、癒し効果はものすごく上がることでしょう。
3.どんな紅茶やブランデーがいいか?そして便利な道具紹介
結論から言ってしまうと、どんなものでもいけます。ですが、よりおいしいものを求めると、やはり良いものを使う方がいいです。
ブランデーに関しては、やはりフランスのコニャックやアルマニャック、カルヴァドスと名乗っているものや、それらに準ずるくらい香りと味の良いものがいいです。
コニャックとアルマニャックは、いわゆるブランデー、つまりブドウから作られたものです。カルヴァドスはリンゴや洋ナシから作られたものです。これらは基準が厳格で歴史もあるため、熟成年数の若いものでも香りと味が保証できます。
逆に言うと、決してこれ以外のものがダメなわけではないのですが、統一された基準がないのでばらつきがあります…。
コニャックやアルマニャックとカルヴァドスでどちらがいいかというと、最初は前者をおすすめします。これは、コニャックやアルマニャックのほうがコクが強いからです。カルヴァドスもおいしいのですが、紅茶に合わせるとなると少し弱いと感じてしまうものも多いかもしれません。
4.詳しさ別、おすすめの組み合わせ
まず、紅茶もブランデーも初心者でわからないけどやってみたい!という方は、ティーバッグで構わないので、アールグレイなど香りのついた紅茶をベースに、コニャックのレミーマルタンV.S.O.Pを使ってやってみてください。
フレーバーのついた紅茶は変化が感じやすいので、楽しいと思います。また、ブランデーは、コニャック、アルマニャック、カルヴァドスのなかでは、ブドウから作った前2つのほうがはずれがないでしょう。その中で200mlなどのボトルもあり、比較的に手軽に買えるものとなると、ヘネシーV.SかレミーマルタンV.S.O.Pしかないのが実情です…。この二つでは、個人的にはレミーマルタンのほうが紅茶には合いやすいと思います!
紅茶はかなり詳しくいろいろと持っているけど、ブランデーはわからない、という方は上記と同じ方法でもいいとは思います。ですが、長く楽しみたかったりお酒も好きだったりするのでしたら、余裕があれば少しいいブランデーを手に入れることをおすすめします。Brandy Daddyさんという、ブランデーの専門サイトでは価格帯ごとにランキング形式でおいしいブランデーが紹介されているのでぜひ参考にしてください。
そこでも書かれていますが、現在1万円以内で非常にいいブランデーは、ラニョー・サボラン レゼルヴスペシャル(20年)です。非常に華やかでフルーティーな香りが特徴で、ティー・ロワイヤルにしてもとてもいいです。この場合、フレーバードティーもいいですが、純粋な香りのついていないもののほうがいいと感じるかもしれません。
次に、ブランデーは詳しくいろいろと持っているけど紅茶はあんまり…という方へです。こうした方は、少し高め(100g1,500円以上)の茶葉を使うことをおすすめします。ブランデーはお好きなものを選びましょう、好みもあると思うのでどれとは言いません。少し手間がかかるのが難点ですが、どうしても茶葉は面倒くさい!という場合、少しですがティーバッグタイプのものもあります。そうしたものと、いいブランデーを合わせると最高なものが出来上がります…
そして、紅茶もブランデーも大好き!もしくは、紅茶は好きだけど、ブランデーはまだ未開拓、でも興味津々な方、あなたの前には素晴らしい世界がもう手に届くところにあります。紅茶の数×ブランデーの数だけおいしいものが出来上がります。個人的に好みだった組み合わせの写真を二つ載せておきますね…。ひとつはナホラビ農園のアッサムと、マーテルのコルドンブルー・シングルエステート ドメーヌ・ド・シャルボニエールの組み合わせです。ボルドリコニャック、素晴らしすぎました。もう一つは、クスミティーのサンクトペテルブルクと、シャトー・ド・ラキー1982バコの組み合わせです。このアルマニャックが素晴らしすぎるんですよね。
おわりに
紅茶とブランデーの掛け算は無限の可能性があります。また、本文ではほとんど触れませんでしたが、紅茶をコーヒーに変えればカフェ・ロワイヤルになるので、その掛け算はさらに広がります…。
コロナの自粛で疲れている今、こうした癒しを日常に取り入れてみるのはいかがでしょうか?
響 ブレンダーズ・チョイス(Blender’s Choice) 香りと味は開栓後どう変わっていく?
こんにちは、Saitoです。今回はウイスキーの話です。
ウイスキーは、開栓してから香りや味が変化していきます。これを「開く」と言ったりもします。
ですが、そうして開いていった結果どうなるのか?ということが書かれているものはあまり見ません。そこで、実際に僕が飲んだボトルの中から、どのように香りや味は変化していったのかというのをまとめていこうと思います。
今回は、響 Blender’s Choiceの変化についてです。
1.響 Blender’s Choiceの基本情報
まずは、響 Blender’s Choice(長いので、以下「響BC」省略します)の基本情報を確認しましょう。
メーカー: Suntory
分類: ブレンデッドウイスキー
発売日: 2018年9月4日
熟成年数: 記載はないが、最低12年,平均15年で、30年以上の原酒も使用しているらしい
特徴: 一部にワイン樽で後熟した原酒を使用
公式テイスティングコメント
ワイン樽後熟原酒に由来する甘やかさ。豊かなウッディネスと奥深くまろやかな熟成香。ほのかな苦さを擁する余韻がやさしく続く。
色: 赤みがかった琥珀色
香り: 野いちご、白桃、パイナップル、クレームブリュレ
味わい: ふくらみのある甘み、心地よい酸味
余韻: やわらかく甘やか、ほろ苦い余韻
響17年の休売とほぼ同時に発売されたウイスキーです。実質的には響17年の後継品として売っているようです。まあ、味と香りは飲めば一瞬でわかるくらい違います。
とりあえず、こんなところでしょうか。
2.個人的テイスティング
それでは、今度は私の個人的なテイスティングをまとめていきます。もちろん素人なので、感じるままに書いています。また、開栓後の変化はしていくかは次にまとめるので、ここでは総合したものを書かせていただきます。
香り: メープルシロップ,ブドウの実,バニラ,プラム、若干の材木や樽,カカオ
味: バニラやブドウの甘み,梅などの酸味。飲み込むとメープルシロップの甘み,カカオやビターチョコレートの苦み
余韻: ブドウ,メープルシロップ,バニラ,レーズン,カカオ,ビターチョコレート,青草など?
表現はかなり違いますが、公式のテイスティングコメントとは、個人的に納得できるレベルの差です。
ただ一点、個人的にはブドウの香りを特に感じるのが大きな違いかもしれません。ブドウといっても色々とありますが、白ブドウ系のマスカットのように感じます。
3.開栓後の時間経過による変化
さて、本題の開栓後の変化です。
開栓は2019年9月18日です。
この時点では、香りはメープルシロップ中心で若干ワインらしさがあり、味は酸味が来てフルーティーな甘さ,そして最後に苦みという感じです。フィニッシュは、まだ記録していない頃だったので、次に新しいものを開けたときなどで補いたいです。
この方向性は、およそ150ml前後飲んで3週間程度たった10月6日まで続きました。しかし、この日はロックでしたが、すでに変化の兆しが表れていました。
そして、5日後の10月11日、200ml前後減った時点で大きな変化が出ます。
香りのメインがブドウに変化したのです。明らかなブドウです、特にピオーネと記録しています。風邪をひいているとの記載もあるので断定はできませんが、10月6日はロックでも巨峰やピオーネ感を味で感じ、次に飲んだ10月26日ではハイボールでしたが香りと味にピオーネと巨峰を記録しているので、変化があったとみて間違いないと思います。
しかし、同時に苦みが強くなっていく印象がありました。山崎NAと似たような、飲み込んだ後に残る苦みです。木のような植物的な風味といってもいいのかもしれません。
この時の液面はこれくらいです。
11月6日に飲んだ時には、ミズナラ感やリンゴや洋ナシ、バナナなども記録していて、かなり香りが氾濫していました。香りの強い花が、少し咲いている頃はいい香りだったけれど、開いたら臭くてしょうがないという感覚に近いものです。液面は、上の画像からほんの少し減ったくらいの位置で、大きくは変化していません。
12月20日、久しぶりに飲みました。香りの氾濫は少し落ち着きましたが、逆にアルコール感が目立ちました。アルコール感はもとから少し感じていたのですが、このときから少し強く感じるようになりました。味も、ビターチョコレートや樽のような木の苦みがメインです。
年が明けた1月23日、図らずも一か月置くことになりましたがあまり大きな変化はありませんでした。しかし、苦みメインだった味が、最初のころの甘さと苦みのバランスに少しずつ戻ってきました。香りの氾濫も少し落ち着いてきたようで、総合的に最初のころのおいしさが戻ってきたように思いました。
この時の液面はこれくらいです。
4月6日、諸々あって結局3か月ほど放置していましたが、ロックでも変化を感じました。開栓したての頃のロックは苦みが強かった印象でしたが、この時はその苦みがちょうどいいレベルになっていました。香りも氾濫している感じではなく、いい意味でただ複雑という感じでした。ここで、かなり消費しました。ロックはこのころが一番おいしかったのかもしれません。
4月16日、ほぼ残り一杯しか残っていない状態です。この、ほぼ最後の状態では、香りはブドウがメインで甘酸っぱく、味は甘みメインで最後にカカオのような苦み、鼻にあがってくる香りは黄色い花や白ブドウにかすかな材木などでした。こうなると、非常においしかったです。
こんな感じです。ターニングポイントは、10月11日と11月6日、1月23日ですね。
4.開栓後変化のまとめ
詳しく変化を書いてきましたが、まとめます。
まずは香りです。
初期: メープルシロップやバニラ中心
中期: ブドウ感の増加から香りの氾濫
その後、落ち着くとともにアルコール感増加
後期: ブドウやバニラはそのままで、中期後半から微妙に減衰していってる感じ
次に味です。
初期: 酸味が来た後に甘み、最後に山崎NAと似た苦み
中期: 甘みが最初に来るが木のような苦みが増加
後味は完全に苦みメインに
後期: 苦みが落ち着き、甘さが最初に来つつ適度なバランスに
そして余韻です。
初期: 記録なし…
中期: 白ブドウ、メープルシロップなど → カカオやビターチョコレートが追加
後期: 中期後半とあまり変わらないが、材木感が少しずつ感じられるように
全体としては、少し減ってきたころにブドウ感が急に現れ、その後香りの氾濫や苦みの増加があるものの、最後は初期とは違うが似たようなおいしさに戻るという感じです。個人的にはそのように思いました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。個人的な感覚に基づいているので、必ずこうだというわけではありません。開栓した時期、飲む頻度、一度に飲む量、飲む場所、個人の感覚の差…などなど様々なものによって変化します。ひとつの例として、何かしらの参考になれば幸いです。