Saitoの沼通信

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とある若者が趣味のことを語る場所。Twitterでは文字数が足りないようなことが中心。 クラシック音楽、ウイスキー、カクテル、紅茶などが好き。

ロワ・デ・キームンの香りと味

こんにちは!

今日はマリアージュ・フレールのロワ・デ・キームン(Roi du Keemn)のレビューです!

 

 

1.キームン紅茶とは?

本題に行く前に、少しキームン紅茶について解説します。

キームン、漢字で書くと「祁門」で、キーマンと言ったりキーモンと言ったりもします。これは地名で、中国の安徽省黄山市祁門県のことです。ここで作られた紅茶しか、キームン紅茶を名乗ることはできません。同じ安徽省でも違う県のものは「安徽紅茶」として区別されるようです。

キームン紅茶は、インドのダージリンスリランカのウヴァとともに世界三大銘茶として知られます。その素晴らしさから、「紅茶のブルゴーニュ酒」ともいわれます。一般的にはスモーキーフレーバーと言われますが、それはあまり品質の高くないもの、特に19~20世紀に注目されて輸出量が増えた時期に多かった粗悪品に多かった香りです。

上質なものにはスモーキーフレーバーはほとんど見られず、バラの花の香りがすると言われます。水色は鮮やかな赤色で、味は穏やかで柔らかく、ほのかな甘みを感じます。また、茶葉は丁寧にねじられているため、なかなか開きません。そのため、抽出には5分かそれ以上かかります。

実は、マリアージュ・フレールで一番有名なフレーバーティーの「マルコ・ポーロ」はキームンがベースになっています。

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右: 安徽省の位置 左: 安徽省内の黄山市の位置

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安徽省黄山市内の祁門県の位置

2.ロワ・デ・キームン(Roi du Keemun)

マリアージュ・フレールのキームンの中では最高ランクのもので、ロワ・デ・キームン(Roi du Keemun)はフランス語で「キームンの王」を意味します。価格も税抜5,700円と高いですが、それだけの良さはあるように思えます。

①茶葉の形状と香り

ランクはFTGFOP。フルリーフで全くちぎれておらず、茶葉そのままの長さで一枚一枚ねじられています。色も非常に黒く(その分光の反射で白っぽくなる)、少し金色のゴールデンチップが入っていますね。

香りは甘い洋菓子や黒糖、ラベンダー、紫色の蘭などを思わせます。スモーキーさは全くと言っていいほど感じられません。

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ロワ・デ・キームンの茶葉

 

 ②水色,香り,味

・水色

写真ではわかりづらいですが、非常に鮮やかで深紅と表現するのが最も適しています。ルビーのように思えるほど、深くてきれいな赤色をしていて、みていてうっとりするレベルです…。

 

・香り

黒糖やマカロンのような甘く官能的な香りがします。椿の葉のように固く艶のある質感や、葦原のように少し枯れた河原の香りも感じられます。さらに、笹や竹の葉のような香りもあります。奥に若干の焦げ感と、黒く湿った土のような香りも感じられます。

 

・味

口に含むと枯れた草のような落ち着いた風味と、軽い渋み、さらにお茶の葉の甘みがしっかりと感じらます。飲み込むと、そのお茶の甘みは洋菓子の甘みのようにも感じられ、若干サツマイモのようにも感じます。余韻は長く、コクがしっかりと感じられます。

 

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③感想

一般的に言われる蘭やバラというよりも、ラベンダー感を強く感じます。やはり水色は最高です。先に述べ調に、どうしても写真ではわかりづらいところがありますが、実際に見てみると、うっとりするくらいきれいで上品な、透き通った赤色をしています。香りと味も素晴らしく、全体としては仏教的な全てを包み込んでくれるような優しさを感じます。最高の紅茶の一つと言えるでしょう…。

 

3.抽出時間について

あくまで個人的にですが、5分がいいと思います。一般的な紅茶と同じく3分でもいいとは思いますが、茶葉の形状的に、やはり3分だとしっかりと開いてくれません。イギリス式で抽出した場合も、ジャンピングの終了が4分強くらいなので、少なくともそこまでは抽出が続いているものと思われます。一方で、5分よりも進むと渋みが次第に強くなってしまいます。このロワ・デ・キームンの場合、茶葉の純粋な甘みをしっかりと感じられるのが魅力でもあります。ですので、渋みは抑制したほうがいいと思います。

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イギリス式5分での茶葉の開き具合

 

4.イギリス式とフランス式での違い

イギリス式とフランス式(コットン使用)における違いです。どちらも一杯分に換算して、茶葉2.5g,お湯200mlで、抽出時間は5分での比較です。どちらがいいかの参考にしていただけると幸いです。

①イギリス式での特徴

イギリス式で淹れた場合の良い点は、乾燥した状態での茶葉の香りが淹れてもしっかりと感じられる点です。飲む際に、乾燥した茶葉で感じられるような、ラベンダーやブルーベリーの香りがしっかりと感じられます。一方で、デメリットとして渋みの強さがあげられます。アッサムほど強い渋みはありません。しかし、口に含んだ際に渋みやえぐみをどうしても感じてしまいます。このロワ・デ・キームンの良さは、そのまろやかで上品な味わいでもあるので、少しマイナスです…。 確かにミルクティーに合うような風味です。

②フランス式での特徴

 フランス式で淹れた場合の良い点は、なんといってもその味のまろやかさです。コットンフィルターが茶間から出るアクを吸着してくれるので、味に全く渋みが出ません。一方で、香りも一部吸収してしまっているのか、乾燥した状態の茶葉で感じるラベンダーのような香りは奥で少し感じられる程度になってしまいます。逆にその分、艶感と枯れ気味の草のような落ち着く香りが前に出てきます。

 

どちらがいいか

僕個人としてはフランス式をお勧めします。イギリス式で顕著に感じるラベンダーやブルーベリーの香りは確かに素晴らしいですが、フランス式でも香らないわけではありません。そして、味に関してはフランス式にイギリス式は勝てません。明らかにフランス式のほうがバランスが良いのです。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?個人的に、ロワ・デ・キームンは大好きな紅茶です…。キームンの香りと特徴、そしてマリアージュ・フレールのロワ・デ・キームンの魅力を知っていただければ幸いです。

それでは!