Saitoの沼通信

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とある若者が趣味のことを語る場所。Twitterでは文字数が足りないようなことが中心。 クラシック音楽、ウイスキー、カクテル、紅茶などが好き。

フランス式紅茶の淹れ方と抽出時間の話

みなさん、紅茶ってどう入れてますか?
紅茶は茶葉の成分が一気に抽出されるので、ほんの少しの差で味わいが大きく変わってしまうお茶でもあります。今回はそんな中でもフランス式の紅茶の淹れ方について解説していきます。

 

 

1..イギリス式?フランス式?

いきなり何かと思われるかもしれませんが、一般に言われる、ポットに茶葉をそのまま入れてジャンピングさせる紅茶の淹れ方、あれは実はイギリス式なのです。このやり方は、日本では主流すぎて多くの本やサイト、動画で解説されています。ですのでここで詳しくは解説しません。

一方でフランス式はほとんどと言っていいほど知られていません。紅茶を詳しく知っている人なら知っているかもしれませんが、そういう人でも知らない人はいる事でしょう…。

実は、フランスではイギリスよりも先にお茶が入ってきていました。しかし、お茶は体に悪いのではないかという議論が起こったこともあり、日常生活には紅茶ではなくコーヒーが取り入れられました。結果、紅茶はフレーバーティーがメインとなり、サロン・ド・テ(Salon de thé)と呼ばれる喫茶店で飲むものになりました。香りを楽しむフレーバーティーであるため、味に渋みが出ることは望ましくありません。そのため、渋いお茶で作るミルクティーを好むイギリスとは違った淹れ方になったと考えられます。

 

2.フランス式紅茶の淹れ方

①用意する道具

道具は以下の通りです。

・やかん
・はかり(正確に測る必要があるので0.1g単位、最低でも0.5g単位が望ましい)
ティーポット(1つで大丈夫)
・コットンフィルター
ティーカップ

コットンフィルターを用いることがフランス式の特徴です。コットンは余計な渋みを吸着してくれるので、上品な味わいになるのです。 逆に、それ以外はイギリス式、つまり一般的な淹れ方とほとんど変わりません。

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コットンフィルター 使い続けると茶渋がついてこんな色に…

※コットンフィルターではなく、金網のようなものに茶葉を入れるのも、簡易フランス式と言えるかもしれません。もしかすると渋みの抑制以外に、狭いスペースで抽出して余計な成分を出さないようにすることもあるのかもしれませんね…。

 

②淹れ方

先にティーポットとティーカップをお湯で温めたり、沸かしたてのお湯を使ったり、正確に茶葉を図るところまでは同じです。


1.コットンフィルターをティーポットにセットし、その中に茶葉を入れます。

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2.茶葉の上からお湯を注ぎ、適切な抽出時間蒸らします。

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3.時間がたったらコットンフィルターごと茶葉をとり、少しかき混ぜます。

 (味を均一にするため)

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4.カップに注いで楽しむ

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意外と簡単ですね?

 

3.イギリス式とフランス式の比較

フランス式の紅茶の淹れ方はわかったと思いますが、違いは何なのか改めてみてみましょう。それぞれのメリットとデメリットを見ていきます。

 

①イギリス式のメリットとデメリット

メリット
・ジャンピングが抽出状況の目安になる
・ミルクティー向けの、少し渋みが強めの紅茶が楽しめる
デメリット
・水分が残っている限り抽出が続いてしまう
・抽出を止めたいならすべて移し替えるしかなく、ポットが2つ必要
ストレートティーだと、移し替えないと渋すぎてしまうことが多い

 

ジャンピングが終わったときにはたいていおいしい状態になっていることが多いので、ジャンピングを見ていればいつがいいときかがわかるのは良い点です。しかし、ジャンピングはブロークンタイプ以下の細かい茶葉でないと、茶葉が重かったり空気が付着しすぎて浮力がつきすぎたりして、底にたまったり上に浮いたままになったりしてしまうことが多いです。そのため慣れないとジャンピングを目安にすることができなかったりもします。
また、イギリス式の場合だと、ポットが2つないと永遠に抽出が止まらないことは大きいです。差し湯すればオッケー、という方は何も問題ないのですが、そうでないとポットを二つ使うので洗い物が面倒です…。

 

②フランス式のメリットとデメリット

メリット
・抽出をいいところで止められる
・コットンで渋みが吸着され、上品でマイルドな口当たりになる
・茶葉の回収がしやすく処理しやすい
デメリット
・抽出の目安になる指標が何もない

 

茶葉を抜いてしまうので、自分の好みの濃さの時点で抽出を止められるのは大きいです。ポットも一つで済むので、洗い物も減ります。それに茶葉がずっとコットンフィルターに入っているので、抽出後の処理も楽です。
逆にデメリットとしては、抽出の目安がないことがあげられます。これは、もう抽出時間を覚えておくしかないです。


ここまでを考えると、僕は、フランス式のほうが楽でありながら渋みが抑えられ、ストレートでも美味しく飲みやすい紅茶が淹れやすいように思います。

 

4.抽出時間について

フランス式のデメリットとして、抽出の目安がないと書きました。そこで、抽出時間の目安と考え方について解説しましょう。

メーカー推奨が基準

基本的にはそのメーカーの推奨している時間で入れるのが良いです。それが、そのメーカーが一番おいしいと自信を持っているところでもあるからです。
ただし、有名な紅茶メーカーはほとんど海外のものだという点に注意してください。実は日本語表記がなされていなかったり、日本語表記がただ訳しただけだったりする場合があるのです。これの何が問題かというと、海外の基準で書かれている場合、そこで使用されているのは硬度が若干高い水であり、日本のような軟水で入れる基準ではないということです。軟水で入れると、抽出はかなり早く進みます。3分~4分以上抽出してしまうと、ほとんどの紅茶は濃すぎて渋く苦いものになってしまうのです。また、日本ではイギリスでいわれているような「ポットのための一杯分の茶葉」も必要ありません。抽出時間と同様の理由で、濃すぎる紅茶になってしまいます…。

②茶葉の形状による時間差

茶葉の形状も抽出時間に大きくかかわってきます。フルリーフであれば、茶葉が開くのに時間がかかるので抽出時間は少し長めがいいです。ブロークンタイプ(BOPなど)やCTC製法による茶葉は、抽出しやすく作られているので短い抽出時間のほうがいいでしょう。これで1分近くも抽出時間が変わってしまうので、非常に大きいです…。

 

③抽出時間と旨味と渋みの量

茶葉の旨味の抽出は2分でピークがやってきます。それ以後、旨味の抽出量は下がっていってしまいます。対して、渋みの抽出はそれ以後も増加していきます。紅茶は渋みも重要な要素なのですが、渋すぎるとよくありません。そこで、この2分というのが一つのカギになる時間となるでしょう。

 

私の考える目安

個人的に日本での目安としては、一杯分として、茶葉2.5g~3gお湯180ml~250ml抽出時間2分~4分の範囲で好きに変えるのがいいと思います。

もう少し具体的に言うと、CTCタイプやブロークンタイプの茶葉は2分台で抽出を終えた方がよさそうです。フルリーフでは、渋みが強めの茶葉は、渋みを出しすぎないようにしながらも少し出すため2分30秒程度に。それ以外のものは3分から3分30秒程度にするのがいいと思います。あとは、ぜひ自分の好みに合った抽出時間を見つけてください!

 

5.ティーバッグについて

ここまで丁寧に読んでくださった皆さんは何かに気付いていませんか?
フランス式紅茶は、乱暴に言ってしまうとティーバッグとあまり差がないのです。もちろんティーバッグはコットンではないですし、茶葉の膨らむことのできるスペースも違っているのですが、基本的な方式としては同じだともいえます。
何が言いたいかというと、ティーバッグを卑下する必要は全くないということです。結局やっていることはフランス式の紅茶と変わらないのですから。(逆にフランスサイドから怒られそうですね…笑)

せっかくなので、簡単にはなりますが、ティーバッグで入れる時の注意点をまとめておきます。

お湯を注いでからティーバッグを入れる(逆だと余計な空気がティーバッグ内に入ってしまう)
②しっかりとティーバッグを蒸らす
ティーバッグは振ったり絞ったりしない

ティーバッグはこれさえ守れば非常においしい紅茶が手軽に飲める、画期的なものです。これを守って、ティーバッグでも美味しい紅茶を楽しみましょう!

 

おわりに

いかかでしたでしょうか?フランス式で紅茶をぜひ淹れてみてください。コットンフィルターは、「紅茶 コットンフィルター」などと検索すると意外と出てきます。

ただ、最後に大切なのは、「あなたがおいしいと思う淹れ方が一番おいしい」ことと、「質のいい茶葉であればどんな飲み方をしてもおいしい」ということです。人それぞれ好みは違いますから、ぜひ自分に合った淹れ方を見つけてください。みなさんの紅茶生活がさらに良いものとなることを願っています!