レミー・マルタンXOのレビュー
今日は有名なブランデーの一つ、レミーマルタンXOのレビューです。
実はヘネシーよりお手頃だったり…。
①基本情報
銘柄: Rémy Martin XO
容量: 700ml
アルコール度数: 40%
産地: フィーヌシャンパーニュ (Fine Champagne)
熟成年数: 10年~35年の原酒をブレンド
値段: 14,000円程度(Amazonでは、2020/9/21現在13,098円)
フィーヌシャンパーニュとは、グランドシャンパーニュ産ブドウを50%以上使用し、残りはプティットシャンパーニュ産を使っているもののみ名乗れるランクです。
レミーマルタンはすべてフィーヌシャンパーニュです。ヘネシーV.S.O.Pのスリムボトル、つまり日本で正規品で売られているものもフィーヌシャンパーニュ表記があります。
実はあまり見ない、貴重なブレンドだったりします(笑)
ちなみに、レミー・マルタンはXOの間に" . "が入りません。ヘネシーは"X.O"と入るんですよね。他の会社もたいてい" . "がはいるので、ちょっとおもしろいところです。
ところで冒頭に書いたように、いわゆる「大手ネゴシアン」のヘネシー、レミーマルタン、カミュ、マーテル、クルボアジェのXOを比較すると、2020/9/2現在ではクルボアジェ、カミュ(XOエレガンス)に続いて3番目です。
ちなみにヘネシーX.Oは、Amazonで値引きされたうえで16,400円です…
②レビュー
飲み方: ストレート
使用グラス: リーデル ソムリエ コニャックXO
・香り
ブドウのコクや、カラメルやバニラの甘い香り、さらに軽くシナモンなどのスパイスが香るのと同時に、アルコール刺激がやってきます。奥には、チョコレートのような香りや、白ブドウのジュースのような爽やかな香りもあります。ブランデーらしいコクは強いですが、意外にもすっきりしている印象です。
・味
口にいれると、小粒ブドウのような少し強めの酸味ともに軽い甘みを感じます。アルコール刺激は弱いです。
飲み込むと、まず、バニラやカラメルにブドウの甘みを一気に感じます。それが口のなかに広がると次第に弱まり、バニラエッセンスや軽くカスタードなどの甘みが感じられるようになってきます。そして、白ブドウの酸味が凝縮されて、オロロソシェリーのようにも感じてきます。最後には、カカオの苦みが来つつ消えていきます。
・フィニッシュ
バニラや白ブドウの果汁のような爽やかな甘い香りと、カラメルの甘い香りがメインで感じられます。同時にかすかにカスタードの甘い香りや、シナモンなどのスパイスの香りも感じられます。重すぎず、かなりすっきりしています。
③総評
ものすごく飲みやすいです。
コニャック特有の、ブドウのコクやシナモンにバニラ、白ブドウジュースが満遍なく感じられ、かつ重すぎず軽めに飲めます。
そう考えると、もしかすると、コニャック初心者にとてもいいかもしれません。
コニャック特有のブドウの濃さを感じつつ、熟成感もあり、それでいて重すぎないです。甘さがしっかりと感じられつつ、ブドウの酸味があり、軽くシナモンなどのスパイスも感じられるというのは、まさにコニャックの特徴を凝縮したようです。
そのため、良くも悪くもコニャックとはこういうものだという印象の基礎を作ってくれ、同時に余計なバイアスも生じさせないと思います。
Brandy Daddyさんも、大手ネゴシアンのXOの飲み比べの記事で「無難な優等生」という表現をしていました。優等生だからこそ、変な癖がなくブランデーを知ることができるのではないかと思うのです。
また、レミー・マルタンV.S.O.Pが非常に手に入れやすいため、比較もしやすいです。
普通はV.S.O.Pを買ってしまうと思うのですが、正直こちらを飲んでから試した方がいいと思いますね…
ポールジロー・トレラール(正規品)のレビュー
今回は非常に評価が高く、知っていると実はいろいろなところに置いてあるコニャックのポールジローから、トレラールの正規品のレビューです。
①基本情報
銘柄: Paul Giraud Très Rare
容量: 700ml
アルコール度数: 40%
産地: グランドシャンパーニュ (Grande Champagne)
熟成年数: 45年以上熟成
値段: 23,00円程度
"Très Rare"は英語にすれば"Very Rare"という感じで、非常に珍しいという意味です。
熟成年数が45年以上と書いたのですが、これが正規品とわざわざ記載した理由でもあります。
ジャパンインポートシステムが日本には輸入していますが、それらは海外普及品つまり並行輸入品とは原酒比率が違うのです。
このトレラールは、通常(並行輸入品)は平均35年熟成です。
しかし、このトレラールは2018年発売のものですが、裏に、しっかりと、「35年表記ですが、実際には全て45年以上の古酒で構成されています」との表記があるのです。
ポールジローにおいて、平均35年のトレラールの上のランクは「ヘリテージ」であり、それは平均50年熟成です。
価格も30,000円を超えてきます。
つまり、この正規品のトレラールは、年数ではヘリテージに匹敵するレベルなのです。
これもジャパンインポートシステム様のおかげ…
②レビュー
・香り
遠くからでもアカシアやキンモクセイの花のような華やかで甘い香りと、ブドウの酸味のある香りがしてきます。近くでは、熟しきっていないリンゴのような甘酸っぱい香りや洋ナシの甘い香り、さらに白檀のようなお香の香りも感じられます。奥からは、軽く白ブドウの酸味のある香りがしてきます。
・味
口のなかでは、リンゴや洋ナシのジュースのような甘さとフレッシュ感を感じます。若干花の蜜の甘さも感じますね。
飲み込むと、花の蜜のような甘さがゆっくりと広がっていき、次第に炭酸のような発砲感も感じます。そして、生クリームのような風味が感じられつつ、消えていきます。
・フィニッシュ
シナモン、白ブドウ、リンゴチップ、バニラ、そしてチョコレートの甘い香りが感じられます。また、白檀的なお香の香りも抜けていきます。ブドウの風味だけではなく、総合的にフルーティーという感じですね。
3.総評
ここにきてブドウ感が減衰してフルーティーさが目立ってきて、全体的なバランスがとても良くなりました。
もちろん開栓当初から、他のコニャックとは比較にならないほどクオリティが高いものではありました。しかし、ほぼ気づかないレベルではあると思いますが、実は最初のうちは白ブドウ感が若干強く、同時に感じられるお香や、アカシアやキンモクセイへとこなれてくる前のオイリーに感じる頃の香りと、喧嘩している部分がかすかにあるのです。
ここまで減ってきて、そこが解決したという感じですね。結果的に、より素晴らしいものになっています。
また、ブドウだけではなく、リンゴやチョコレートも感じられるのも素晴らしいです。
リンゴやフルーティーさに関しては、ポーロジローのスパークリンググレープジュースを飲むとものすごくわかると思います。
ポールジロー氏の作る独特のブドウの風味が、しっかりと出ている証でもあります。
総合すると、複雑ながらすっきりとしていて最高のコニャックです。
並行輸入品のトレラールと比べてみたいですね…
私のテイスティング法 ~第三章 コメントの文章とまとめ方~
2回ほどテイスティングについて記事を書きましたが、今回は実際のコメントの書き方や記録をどうまとめているかについて書いていきます。今回でようやく終わりです!
(もう少し細かく分ければよかったでしょうか…)
一回目と二回目の記事はこちらになります!
1. 一般的なテイスティングコメントの問題
公式のテイスティングコメントや、よく見るテイスティングコメントって、要素をただ書いていくことが多いと思います。例えば、土屋守氏の『シングルモルトウイスキー大全』に載っている、マッカラン18年のテイスティングコメントはこんな感じです。
香り・・リッチで深みがある。シェリー、トフィー、レーズン、アーモンド、シナモン。加水でマンダリンオレンジ、フルーツケーキ。
味・・・深みがある。スィート。スパイシーで複雑。最高級のプ―アール茶、クローブ。余韻が非常に長い。
総評・・究極ともいえるマッカランの1本。深みがあり余韻が長く続く。イタリアンチーズのゴルゴンゾーラ・ドルチェと・・・・・。
あくまで例です、そこはご理解ください。
これがいけないというつもりは全くありません。
ですが、個人的には何と味気ないものかと思っていしまいます。もちろんこれだけではなく、ウイスキー販売元のコメントやよく見るコメントもこのスタイルばかりです。
はっきり言います。正直嫌いです。
なぜ嫌いかという理由はいくつかあります。
①書かれた香りや味の要素のどの部分なのか?
第一にわからないのはここです。ただ要素が並んでいる中、その要素の何を感じ取って記載しているのか、何もわかりません。
その要素すべてだ!というのかもしれません。
たしかにそういう時もありますし、それならその要素だけを書きます。ですが、そうだとするならこんなに併記できないと思います。それらすべてが、すべての要素で感じられるのですか?
そんなことはないと思います。
さらに、人によってその書かれている要素からなにを想像するのかは違ってきます。他人ではなく、自分自身でも時が経てば変わってしまうでしょう。
そうしたとき、要素内の何なのかが書かれていないとすると、その香りや味のイメージは正しく伝わるでしょうか…?
②その香りや味は同時なのか?それとも時間変化があるのか?
個人的にはこっちのほうが大切です。
意外と気にされていないところかもしれませんが、記載された香りはどういう順番で香ってきたのでしょうか?
ただただ並べられているだけだと、どう香ってくるのかなにもわかりません。
先ほどの文章でいえば、シェリーが来てレーズンが来て~となるのか、シェリーとレーズンにアーモンドやシナモンが同時に感じられるのか、それともシェリーとレーズンの奥からアーモンドやシナモンが香るのか…
味も同様です。ここに書かれているのは明らかに要素が少なくは感じますが…。
深さ、スィートさ、スパイシーさ、プ―アール茶にクローブはいったいいつどのように感じたのでしょうか。ここで読んだだけでは何にもわかりません。
つまり、香りや味の時間経過による変化やその要素の近さ(すぐ来るのか、奥からなのか、軽くなのかかすかになのか、など)がまったく書かれていないのです。
2. 要素の羅列ではなく文章に
さて、上記のような問題点があるからこそ、私は文章でテイスティングコメントを書きます。
あえて文章で書くからには、そこで表現できることをなるべくたくさん使いたいです。そこで、大きな方向性として、以下のことを大前提にしています。それは、
「見返した時に、不完全ながらもより近いイメージを想像できるか」
です。
このために、要素の強さや順番、そして感じられ方を細かく補っていくのです。
①感じられた順番で
まずは、これを大原則にしています。
感じられた順番に書いていかないと、見返した時に想起しづらくなります。
また、読むという行為は時間経過を伴うものです。だからこそ、その読むことによる時間経過と、香りや味の時間経過を同期させるためにも、感じられた順番で書くのが一番だと思います。
印象の強い要素から書いていくこともできますが、結局大きくは変わらないと思います。それなら、見たときに想像しやすいように、感じた順で書く方がいいと思うので。
②香りは「強さ」を明確に
詳しい分析による要素は、第一章と第二章であげたようなやり方でとらえています。
それが、いったいどのように感じられるのかを明確に書く必要があります。
①の感じられた順番で書きながら、その香りの「強さ」をわかるようにします。
その要素が「メインで」感じられるのか、「軽く」感じられるのか、「奥から」なのか、「かすかに」なのかなどです。
基本的には先に感じられるものが強い香りで、後に感じられるものが弱い香りではあります。ですので、上に書いたような順で使っていくことが多いです。
奥からは少しわかりづらいですが、ある要素の背後にそれが感じられるようなイメージの時に使います。
一方で、先に感じられたものを分析すると、弱いけれども含まれている要素を感じることもあります。そういったものなどは、しっかりとメインで香るものでありながらも弱い要素であることを明示しないといけません。そうしたときには、「~や、軽い○○の香りなどがメインで感じられる」などと書くことももあります。
ところで、香りを嗅ぐ中でも時間経過は起こります。すると、どうしても香りに変化が生じます。
そこで、その香りの変化は、新たに「次第に」や「時間がたつと」などと明確に違うタイミングでの香りだとわかるようにします。
これが書かれていないと、いったいいつの香りなのかがわからなくなってしまいます。
ちなみに、この「強さ」は香りだけでなく、味に関しても重要です。「強さ」は要素の比率、もしくは配合を伝える手段です。ですので、次に味のコメントについて書いていきますが、そこでも強さは大切なものになってきます。
③味は、強さに加えて目まぐるしい変化を言葉に
前回の記事で、味は二つある(口内でと、飲み込んでから)と言いましたが、口内で感じるものに関しては、実はあまり大きく味を感じていないように思います。
事実、テイスティングコメントを書いていても、それほど長くなりません。ですので、ここでは、感じられるものをアルコールから差が来るまでにしっかりとメモします。
しかし、香りと同様強さに関してはしっかりと記します。そうでないと、要素の比率/混ざり具合がわからなくなってしまうので…。
(正直、口内に関してはまだまだ分析の余地が残っているかもしれません…。)
さて、そして問題は飲み込んでからです。ここでは刻一刻と感じられる味は変化します。ですので、それをしっかりと言葉にしていきます。
まずは、飲み込んだ瞬間に何が感じられるのかを書きます。大事なのはこの次です。この要素がどう消え、次の要素がどのように感じられてくるのかを詳しく書きます。
たとえば、最初の要素がすぐに消えて次の要素にすぐ切り替わるのであれば、「○○が一気に駆け抜けて消え、◇◇が前面に現れる」みたいな感じです。
同時に、どのくらいの強さなのかもしっかりと書いていきます。香りでも書いた、「メインで~」や「軽く~」などですね。
この強さと要素の変化は、融合させて書くこともできます。
永遠と書けるくらい例はありますが、ここでは毎回言語感覚が試される感じですね。似たような表現はたくさんあるとは思いますが、その中から何がこれを表すのに適しているのかを、瞬時に見抜く感じです…
まあ、疲れますね(笑)
そして、こうしたものが続いていきながら、最後に舌の上に何が残って、すぐに消えるのかゆっくりと残るのかなどを書きます。
ここまでで、ようやく味はひと段落です。
④フィニッシュは香りと同様強さメインで、しかし変化も意識
フィニッシュに関しては、香りと味の中間に位置します。ですので、香りと味で書いたことを組み合わせてやっているだけです。
しいて言うと、ここは余韻にも相当するので、どの程度長く残るのか、軽いのか重いのかなどのコメントは追加でつけるようにしています。
正直、特段書くことはこれ以上ないかも…
3. 「感想」について
これは、一回目の記事の冒頭で、テイスティングコメントは4段階に分けると言いました。その最後のものです。
この感想では、個人的に強く印象に残ったこと、あるいはグラスでの香りや味,フィニッシュに書くほどではないけれどもなにか感じたことなどを書きます。
たとえば、前回飲んだときとの大きな変化や、はじめて飲んだのであれば、他に似ていると感じた銘柄や衝撃を受けた点などです。
あるいは、全体を通しての印象や、全体のまとめ的なことも書きます。全体を通してこの要素が強かっただったり、3段階全て違う要素で面白い、とかだだったりします。
最初に引用した土屋守氏のコメントで言えば、総評にあたる感じです。要は、テイスティングのまとめという感じですね。
ただ、そこまで固くならずに、思ったことで書いておきたいことをただただ書く感じです。
ここはゆるくやってます。ですから体調的なことや、精神的なことも書いたりします(笑)
ここをしっかり書いておくと、次に振り返ってみたときにも、当時の自分がなにを思って飲んでいたのかがわかります。
言ってしまえば、日記にも近いかもしれませんね。
4. テイスティングコメントの個人的まとめかた
①スマホでメモ
まず、実際にテイスティングをして書いているときには、スマホのメモ帳を使用しています。
これは、間違ったり表現を変更したいときに修正しやすいからです。
文章でコメントを書いているので、いきなり紙に書くと修正しづらく、修正しようとすると時間がかかってしまいます。しかし、スマホであれば、テイスティング中に表現を変えたいと思ったときに、ぱっとその部分だけ修正できます。
この時に、日付や飲み方(ストレートやロック、ソーダ割など)も一緒に書いておきます。
②ルーズリーフでまとめる
スマホにまとめたものを、時間があるときにルーズリーフに書き移して、ファイルに入れて、銘柄ごとにまとめていきます。
面倒であればそのままスマホでも、パソコンでまとめてもいいと思います。
しかし、私は紙のほうがあとからでも探しやすく、さらにあえて紙に書くことで改めてその銘柄の印象を再確認することになり、印象を覚えていけるというメリットがあるようにも思います。
まとめたものは、下の写真です。
これは、左側はグレンモーレンジィ・キンタルバン14年の最後のページで、右ページはグレンモーレンジィ・アルタの最初のページです。
日付や飲み方、香り、味、フィニッシュ、感想などはしっかりと書いていますが、右ページの上を見るとわかるように、銘柄の名前やアルコール度数、そしてウイスキーならハイランドやスペイサイド,ジャパニーズと言った「地域」や、シングルモルトやブレンデッドモルト,ブレンデッドなどと言った「区分」、さらに開栓日も書いています。
見返した時にわかるように、ということで、そこまで書いています。
おわりに
非常に長くなりましたが、私のテイスティング法はこれにておしまいです!
あくまでも個人的なことですし、別にプロになろうとも思っていません。しかし、好きであるからには対象のことをしっかりとわかりたいのです。だからこそ、自己流ではありますが、このようにやっています。
ここまでの記事が、何かしらの参考になればうれしいです。
それでは!
私のテイスティング法 ~第二章 分析中の思考~
今回は、以前のテイスティング法の続きで、分析中にどういう風に考えているのかということを解説していきたいと思います。
前回の記事はこちらです。
1. 感じたまま
具体的な分析より以前に、まずはその香りや味を感じてどう思うのかは大切です。
やはり、まずは感じたままです。これを忘れてはいけないと思います。
「好き!」「ヤバい!」「好きじゃない」「無理…」
私はそれを基本にしています。第一はここからです。
ですから、詳細な分析をする直前にも、嫌いだったり嫌なものを感じるとしかめっ面になり、好きなものを感じると興奮します(笑)
このように、感じたままをしっかりと認識することで、大きな道筋が決まっていきます。
そして、なんで「好き」なのか、何が「ヤバい」のか、なんで「無理」なのかを探っていくのです。
2. 要素をとらえていく
① 感じたままで要素を把握
要素をとらえていくことでも、感じたままは大切です。
感じたままをダイレクトに書くことで、自分も見返した時に想像しやすいですし、飲んだことある人は自分とのとらえ方の違いを簡単にわかりますし、飲んだことない人はそのコメントからの想像がしやすくなります。
最近で衝撃的だったのは、「ももの缶詰を開けた香り」です(笑)
もちろんこのコメントは、この段階だけではなく、これから述べていく段階を認識したうえで出てきた言葉でですが、そこまで詳細に分析するより前に、感じたままでこの言葉が出てきました。
でも、こう言うとすぐに想像ができるでしょう。自分も他の人も、こうして感じたままを書けば容易に想像ができます。
さて、感じたままをとらえることによって、大まかな要素をとらえていきます。
ここでは、リンゴ、オレンジ、白ブドウ、カラメル、メープルシロップ、レーズン、花などという感じです。
この上で、より詳細な分析に行きます。
② 分析その1
それでは、感じたままでとらえた大まかな要素をより詳細に分析していきます。
たとえばオレンジであれば、ピール(皮)なのか、ピールオイル(皮を絞って出るオイル)なのか、実(ひとつひとつのつぶつぶ)なのか、または房の皮なのか、それとも房とピールの間のわたなのか…
リンゴであれば、若い青リンゴなのか、赤いけど熟しきっていないリンゴなのか、それとも熟したリンゴなのか、さらには焼きリンゴなのか、アップルパイなのか、リンゴのコンポートなのか、リンゴジャムなのか、全く違ってリンゴの花の香りなのか、リンゴの木の枝なのか…
上にあげたのはほんの一例にすぎませんが、こうして、要素の部位や状態を明確にしていきます。
ところで、要素によって、分析方法の向き不向きはあると思うので、これが無理なら他の方法をとります。これは、ここからあげるどれにも共通することです。
③ 分析その2
今度は、感じたままの要素を別方向から分析していきます。
もちろん順序なんてなく、こちらを先にやることも、同時にやることももちろんあります。便宜的にその2などと順序をつけていることはご理解ください。ただ、こちらの分析をする際は、あまりその1と同時にやることは少ないですね。
さて、今度は部位や状態ではなく、その要素の中の成分的な面に注目します。
たとえば、オレンジの実の甘い部分なのか、酸っぱい部分なのか、それともあのつぶつぶした質感なのか、それら全てなのか…
ただオレンジの実と思ったとしても、その甘い部分からそれを想起しているのか、それともその酸味からそれを想起しているのかで、かなり違った香りや味になってしまいます。
他にも、焦げ感といっても、カラメルの焦げなのか、焚き火などの木の焦げなのか、それとも麦を燻した焦げなのか、あるいはベーコンなどの焦げなのか…。
これら全て違っていると思います。
まとめると、大きな要素のどの部分なのかを明確にするということですね。
こうすることで、より正確に何を感じたのかがわかるのです。
④ 分析その3
その2と同じように要素の中の成分的な面に注目するにしても、複合的に絞っていくこともあります。
たとえば、甘さ、といっても、バニラやバナナに共通する甘さと、リンゴや洋ナシに共通する甘さ、さらにはカラメルや黒糖に共通する甘さは全て違っています。
このように、なにかとなにか(2つに限らず3つでも4つでも)に共通する○○というように絞りこむこともあります。
実際には、その1やその2よりも、むしろこちらのほうが多い気がします。
ですが、この方法は複数の方向から限定していく、という挟み撃ち方式を使っているので、少し難易度が高いです。
慣れると、間にある感覚を表現できるので、幅が広がるように思います。
⑤比喩的な分析
これは上の三つを駆使してもよくわからないけれども、なぜかその要素を感じるように思う、という時に用います。
「○○のような~」というやつを使います。
ですので、これは分析というよりも「整理」という感じです。
これ以上特筆することもないですかね(笑)
3. 時間との闘い
このようにして詳細な分析をしていくわけですが、これらは常に時間との勝負です。
時間がたてば、香りも味も必ず変化します。たった10秒、いや5秒程度でも大きく変化してしまうこともあります。特に、飲み込んでからの味とフィニッシュは変化が速いです。
ですから、ここまで長々と脳内で何を考えて分析しているかを書いてきましたが、これはすべてその時間でやっています。感じたままも瞬時で認識して、度の分析を使用するかなどは、意図的に選ぶというよりも気づいたら選んで先に行ってるレベルです。
もちろん同時にメモもしますから、この時は頭フル回転で、脳の活動すべてを分析とメモにまわしてる感じです。オーバーワークになる寸前ですね、ハイ。
特に味とフィニッシュの分析中は、ヤバいです。
ですから分析の最中に思っていることは、「はやく思い浮かんでくれ」です(笑)
思い浮かばない時もありますが、そういう時は無理をしすぎず、わかる範囲で書いていきます。書いていると思い浮かぶときもあります。
ちなみにどうしても無理なときは、以前自分が書いたコメントを参照して表現を見つけることもあります。
ですので、もし誰か私と一緒に飲んでいるとき、ちょうど一口目や二口目を飲んでいるときに話しかけて反応がなかったとしても、ご了承ください…(笑)
(半分ウソで、半分本当です)
4. 分析のイメージ
あまり考えたことがないと思いますが、このあいだTwitterでやりとりをしていて意外と人それぞれ違うことが判明したので、書きます。
一般的には、「例える」というやり方が多いかもしれません。これは○○みたいな香り、もしくは味、という感じですね。
ですが、私は何かそれとは違うんですね。もちろんそれを使う時もありますが、基本的にはそれとはイメージが違っているんです。
私の場合は、香りや味が図形だとした場合、「重なっているライン、あるいは接線、もしくは近い線」のイメージなのです。
ですから、「知っているものの香りや味の要素を用いることで、対象の香りや味の図形を再現する」ともいえるかもしれません。
これを図にしてみるとこんな感じです。
え?図がわかりづらい?それはすみません…
この図においては、単純化するためにすべて「香り」にしていますが、「味」も同様です。そして、面積、つまり図形の内側は含まないのでご理解ください。
真ん中の赤い線がウイスキーなど、テイスティング対象になります。この対象はフィクションなので、どの銘柄かなどと考えないでくださいね(笑)
外側に書かれている図形が何を表しているかと、それと対象の共通部分や接点が何なのかを書いています。離れている場合は、近いけれどもそのものではないということを表しています。
このように、テイスティングする際は、
「この図形の線や通る点は、知っているものの何にあたるのか」
という視点で分析をしています。ですから、例えてないことが多いんですね。まさにそれであって、それ以外のなにものでもないという時が多々あります。
前に出てきた「ももの缶詰」は、まさにそれであって、それ以外ではありえないんです。「ももの缶詰『みたい』」ではないんですね。
もしかしたら、それそのものなわけないと思うかもしれません。ですが、目の前にあるものが何なのかを知らずに、その成分を認識して嗅いだり味わったら、確実にそれだと誤認してしまうと僕の中では言えるんです。
だからこそ、第二段階のように、あそこまで細かく分析するのです。
もちろん、例えを使う時もあります。それそのものではないけれどもそのような香りがする、という場合です。そういう時は、「のような」や「みたいな」という表現をつけて分析することで、例えていることを明確にしています。
ですが、その使用量は少ないかもしれません。ですから、上の具体的な分析の際にも、比喩的なものは最後に書いたのです。
便宜上この位置でまとめましたが、これがあるからこそ、今まで書いてきたようなやり方になっているんですね。
おわりに
今回はテイスティング中の思考や、具体的にどう分析しているのかについて書いていきました。テイスティングでの分析のイメージは、ひとりひとり違っているとおもうので、ぜひご自分のイメージを確認してみてほしいです。
次回の記事はこちらです!テイスティングコメントの文章とまとめ方について書いています。
私のテイスティング法 ~第一章 テイスティングの動作~
数回にかけて、普段ウイスキーやブランデーを飲むときに、どのようにテイスティングしているのかをまとめようと思います。
基本的にはお酒、特に蒸留酒のテイスティングのやり方ですが、お茶に関してもこれに準じてやっています。
最初の今回はテイスティング中の動作についてです。
0. 4段階にわける
動作、と言っても、それ以前にどのように分けてコメントを書いているのかがわからないと解説のしようがありませんね。
私は具体的な普段テイスティングをする際、対象がなんであれ、4段階を基本にしてます。その4段階はこうです。
① 香り
② 味
③ フィニッシュ(鼻に抜ける香り)
④ 感想
まとめるときは、基本この4つでやることにしています。
ただ、厳密に言うと、2. 味 は口のなかでの味と、飲み込んでから口に残る味にわけているので、5段階とも言えるかもしれません。
4の感想については、テイスティングで感じられたものの付録的な事で、実際のテイスティングとは関係ないので、のちのち説明します。
ですので、今回は1.香り、2.味、3.フィニッシュの分析の際の動作についてです。
1. 香り
ここでいう香りとは、グラスでの香りです。
ストレートやTwice Up、その他テイスティンググラスで常温の場合、グラスを傾けて一周ぐるりと液体をゆっくり回します。
この方が香りが立ちやすいのです。グラスの表面についたところからも揮発していくので、より香り成分が多く感じられるようになるんですね。
ぐしゃぐしゃ回すという手もありますが、後述の理由から液面はあまり揺らしたくないので、そうはしません。
もちろん、これをやらないで嗅ぐというのもありです。あくまで私はです。
a.遠くからの香り?
遠くからでも感じとれる香りは、無理に感じ取ろうとはしません。
グラスに注いで放置しているのに漂って来るくらい強い場合のみ、記載するようにしてます。
わざわざ遠くから嗅いでも、あんまり感じとれないことが多いんですよね。
たしかに一般的には、遠くからと近くからで違う、とか言われたりします。でも、その遠くってどれくらいなんでしょう?
スマホを手に持ってるときの画面くらい離れてでしょうか?それとも手を伸ばしたときくらいでしょうか?
基準が明確じゃないんですよね。ですので、個人として楽しむのはありだと思いますが、コメントとして残すには再現性が低そうです…。
一方で、漂ってくるのなら、どこに置いたとしても漂ってくるくらい強いわけですから、基準もなにもありません。感じたままを書いたとしても、他の人も他のシチュエーションでも感じとれる可能性が高いでしょう。
ですので、そういうものだけ書きます。
b.近くでの香り
近く、といってもグラスに鼻を突っ込んではいけません。ぼくもたまにやってしまうのですが、最悪です…。
グラスに鼻を突っ込むと、グラス内の湿度がより上がってしまいます。そして香りの開きかたが変わります。さらに、この癖がつくと、バーでも出てしまいます。最悪ですね、やめましょう。
グラスからすぐの位置で嗅ぎます。
吐いた鼻息が絶対にグラスのなかに入らないように、そしてなるべく液面を動かさないように注意します。
鼻息が入ってしまうと、グラス内の湿度が上昇したり、息のスピードで液面を揺らしたり、グラス内の二酸化炭素量が増えたり…。様々な要因で香りが変わってしまいます。
そして、液面を動かすと、空気に触れて開いてきた表面が崩れて、中に戻ってしまいます。こうして、また開いてない液体が上に出てきてしまい、いつまでたっても開いていない香りしか出てこなくなります。
なるべく開かせた方が、その液体のすべてを発揮できるようになるので、なるべく動かさないようにしています。
それならよく回して全体を開かせれば…というかもしれませんが、そんな簡単には開きません。すると、むしろ液面を維持し続けた方が、しっかりと開いた香りを嗅ぐことができると思うのです。
もちろんここでいう開くというのは、開栓後時間が経つことによって開くのとは違います。それが「先天的な」ものだとたとえると、このグラス内の液面でどれだけ開くのかというのは「後天的な」ものと言えるかもしれません。
これは、どちらも開く状況が異なっているので、グラスで開いたら瓶内で開いたある時点と同じというわけにはいかないと思います。
+αの分析
普通に嗅いで感じ取るだけでたいていは終わります。
しかし、香りが弱かったり、なにかよくわからない香りがあるときは分析を続けるために、嗅ぎ方を変えていきます。鼻の中の香りを感じる位置に注意するのです。
まずは小鼻のあたりで、次に鼻の奥でという感じです。こうすると、新たな香りを発見できたり、正確に分析できたりします。
2. 味
①口の中での味
口に含んだら、まずはそれを分析します。
あえて舌は全く動かさず、空気も含まず、口に入れた瞬間をキープします。
口の中でぐるぐるとまわしてしまうと、普段飲むときとは違う味を感じ取ってしまったり、アルコール感を急に強く感じてしまったりという問題があるので僕はやりません。
ポテンシャルの把握としてはありだと思います。
事実、舌の場所によって感じる味は違いますから、口の中で液体を回すことでそこにいきわたらせることもできます。そうして、いろいろな成分を感じ取るのもいいと思います。
しかし、それをやると唾液がより分泌されやすくなって味は変わらないのか、という不安があります。口に入れた瞬間をキープするのは、それをなるべく避けたいというのもあるのです。
さて、時間経過とともにアルコールの辛さが来るので、それまでの勝負です。
素早く分析してメモしていきます。
②飲み込んでからの味
これは人によってはフィニッシュにしてしまっていたり、逆にフィニッシュをこことまとめてしまっていたり、あるいは両者まとめて「余韻」言ったりと、かなりばらつきのあるところです。
ですが、味はむしろここからが本番だと思います。飲み込んでからは、時間経過とともに感じられる味は大きく変化していきます。といっても、その間10秒にも似たないかもしれません。しかし、その10秒がそれの評価を決めてしまう、それほど大事であると思うのです。
というか、みなさんここを楽しんでいると思うのですが…違いました?
さて、ここはまさに時間との戦いです。メモしている瞬間にも感じる風味は変わってきます。
ですので、より時間経過での変化を詳しく説明するように書いていきます。
飲み込んだ瞬間の味、少し経って現れる味、そしてどのように舌からその味はいなくなっていくのか…。
すべてが大切だと思います。
ですので、飲み込む瞬間に覚悟を決めた方がいいかもしれません(笑)
※2口目はだめなのか?
そんなに1口目でやらずに、わからなければ2口目でやればいいじゃん、と思うかもしれません。
ですが、2口目はその味に慣れたうえで感じる味なのです。明らかに感じられる味は変わってきます。先ほど飲んでいる間にも、それを再確認しました。
慣れた方が分析は正確になるのでは?と思うでしょう。
これはもしかすると僕だけかもしれませんが、慣れてしまうと細部に気付かなくなります。舌が新鮮ではない、という言い方がいいのかもしれません。
慣れてしまうと、その味は直前に感じた記憶が残った状態で感じているものです。
ですから、慣れる前には感じられる「異質さ」や「繊細な味」は意識からなくなり、その味の中で強烈だった部分が強調されてしまう気がするのです。
一口目のアルコールによって、舌が若干マヒした状態になってしまっていることも理由として挙げられるかもしれません。
また、一口目でしっかりと分析できれば、一杯の中で分析に使わずに純粋に楽しめる時間が増えます。
ですから、なるべく1口目でこの味での分析は終わらせたいのです。
3. フィニッシュ(鼻で感じる香り)
これは、1口目で味に集中しているため、2口目にするしかありません。
ですが、経験的にあまり変化があるようには思えないのです。おそらく、胃から登ってくる香りや、のどや口に残った成分から登ってくる香りなので、あまり変化がないのでしょう…(確証も自信もないですが)
しかし、これも意外と早く消えてしまうものが多いです。ですから、なるべく早く分析を終了したいです。
鼻から軽く息を吐いて、吐く息の中に混ざっている香りを感じます。
もちろん、一番液体が残っているのは口の中ですから、飲み込んだ後の味と近い香りではあります。
ですので、鼻の奥で感じているのか、舌で感じているのかは明確に分けなければなりません。
慣れない人には少し訓練が必要かもしれませんが、息を吐きながら鼻の奥に神経を集中させる。こうして感じ取っていきます。
また、飲み込んだ後の味と同様、どれくらい早く消えていくのかも重要なポイントです。余韻の長さと直結するところなので、そういった意味で非常に大事です。
おわりに
さて、今回はテイスティング最中の動作についてまとめました。
次回はこの作業をしている間、頭では何を考えているのか、という実際の分析中の施行についてです。
お楽しみに!
次回の記事はこちらです!
ロイヤルサルート・エターナルリザーブのレビュー
今回は2015年にリリースされた、ロイヤルサルート・エターナルリザーブのレビューです。
①基本情報
銘柄: Royal Salute The Eternal Reserve
容量: 700ml
アルコール度数: 40%
熟成年数: 21年以上
原酒: 88種類をブレンド
値段: 17,000円~19,000円程度
88種類をブレンドしているとのことですが、8と永遠がかかっているんですよね。まあ、たくさん混ぜれば美味しいのかというところには疑問はあります…。
主にヨーロッパ向けとのことですが、実店舗ではあまりみないかもしれませんが、普通に日本でもネットで買えます。
②レビュー
飲み方: ストレート
使用グラス: 木村硝子店 ウイスキーテイスティンググラス 200
・香り
麦、ラムレーズン、メープルシロップ、杏などの香りがします。少しアルコールの刺激もあります…。次第にパイナップルの酸味やマンゴーのような、南国のフルーツの甘い香りも感じられます。軽く生クリームのようなオイリーさもあるかもしれません。奥から若干硫黄的なの香りもするが、全く嫌ではないですね。
・味
口にいれると、樽の苦みとともに若干の炭酸のような発泡感、さらに軽い麦やバニラの甘みを感じます。
飲み込むと、カカオやビターチョコレートの苦みと甘みがやって来たのち、軽く発泡感がきて、ようやくレーズンやメープルシロップのような甘みがやってくきます。そして、それが残りつつ消えていきます。
・フィニッシュ
レーズン、生クリーム、軽くカスタード、チョコレートなどの甘い香りがします。そのなかに、ミントのような爽やかな香りも感じられます。甘いがベタベタしていなくいて、とてもいい香りです。
③総評
このときは少し弱かったですが、香りのメインは完全に杏です。シェリー樽由来の風味もしっかり感じられます。そのように、ロイヤルサルートのあの重厚感はしっかりとありつつ、そこまで重すぎず爽やかさもあるのがとてもいいところです。
ただ、少しアルコール刺激があるんですね。もちろんあって当然なんですけど、他の香りとケンカしてしまうのでマイナスです…。
ですが、値段と味を比較しても、個人的には許容範囲だと思いますし、少しのアルコール刺激を除けば非常に美味しいです!
通常のロイヤルサルートと熟成年数は同じ21年ですし、飲み比べてみるのも面白そうですね。
あくまで何となくですが、もしかするとロックは美味しい予感がします。ハイボールも気になりますね(贅沢すぎますが笑)。
レイモンラニョー・オルダージュのレビュー
今回は、グランドシャンパーニュの生産者の中でも評価の高い、レイモンラニョーのなかから、オルダージュのレビューです。
①基本情報
銘柄: Raymond-Ragnaud Hors d'Age
容量: 700ml
アルコール度数: 43%
産地: グランドシャンパーニュ (Grande Champagne)
熟成年数: 平均35年熟成
値段: 15,000円~19,000円
グランドシャンパーニュ産のものは35年で一番花開く、といわれていますが、ちょうどその35年程度のものをブレンドしたものです。
ヘネシーX.Oと同じくらいの価格で買えてしまうのが怖いくらいですね…。
ところで、このレイモンラニョーは、以前レビューを書いたラニョーサボランの親戚(兄弟)の会社です。畑もものすごく近いので、比べるのも面白いです。
以前書いたラニョーサボランNo.20レゼルヴ・スペシャルのレビューはこちら
ラニョーサボラン レゼルヴ・スペシャル No.20のレビュー - Saitoの沼通信saito-numa.hatenablog.com
②レビュー
飲み方: ストレート
使用グラス: リーデル ヴィノム コニャック
・香り
白ブドウの酸味とコク、バニラの甘い香りや、クローブなどのスパイスも感じられます。軽くカラメルソースやハチミツの甘い香りもいます。その奥に、熟したリンゴや洋ナシ、さらにはバナナが隠れていて、かすかにラズベリーも感じ取れます。
フルーティーながら複雑で濃厚な香りです。
・味
口にいれると、ほんのりと皮まで食べられる白ブドウの皮の部分が感じられたあと、小粒白ブドウの酸味がやってきます。
飲み込むと、ブドウのコクが来たあとにバニラが広がっていき、同時に熟しきっていないブドウの酸味が来ます。その後、カラメルの甘みとカラメルの焦げの苦みがやってきつつ、かすかにゴボウのような根菜を感じます。それらがゆっくりと混ざり合いつつなくなっていきます。
・フィニッシュ
熟しきっていないブドウの実やブドウのつるから感じられる酸味のある香りと、バニラエッセンスやカラメル、さらにクローブやシナモンなどのスパイスを感じます。濃すぎないが深く、とてもいい香りです。
③総評
やはり熟しきっていないブドウの酸味感がとても感じられます。そこが他のコニャックではあまりなくて、特徴的なところです。
ブドウの酸味が好きな人はものすごく好みだと思います。
たしかにこれは、フルーティーが花開いているような、そういった華やかなコニャックではないです。
どちらかというと、強めのブドウの酸味のパンチと深いところから沸き上がってくるコクのある、力強いコニャックだと思います。
スパイシーでドライだという評価がなされることも納得です。
そういう意味では好みはわかれるかもしれません。ですが、飲んでおくべきコニャックだとは思います。
もちろん、このオルダージュである必要はなく、平均25年熟成のエクストラヴィユー(XO)で十分でしょう。
それも1万円という、安さ…(私はまだ飲んだことがないので飲みたいです…)
ちなみに、親戚のラニョーサボランにもフォンヴィエイユという35年程度の熟成品があるので、それとの飲み比べも面白いかも…